米の国際市場  世界で米は余っているのか?


いまや国際的に食料が余っているなどと考えている人は数年前に比べ相当少数になっているはずである。


もちろん、米も例外ではないのである。国際市場で米は、麦、とうもろこしと比べ、単価の高い穀物であるが、その価格相場は以前から乱高下を繰り返していた。

原因のひとつは、米の生産地の9割がアジアで生産され消費されている一地域に需要と供給が集中している性格にある。


アジアの気候はモンスーン気候で、地域的に洪水や天候不良をもたらし、アジア諸国の食糧事情を不安定にさせる要因となっており、93年日本、94、95年の中国、韓国の不作、インドネシアの干ばつ、フィリピン、バングラディシュの大洪水、インドの大地震、オーストラリアの干ばつなどその年々で不安定要因ができることが根本的な問題になっている。

 

また、世界の米在庫の問題があげられる。


2000年ごろまで世界の米在庫の半分は中国の備蓄によるものであったが、年々この在庫も減り、中国以外の輸出各国、日本を除く輸入各国の在庫量も減少している。


アジア、中南米の人口増にともなう需要増が生産増を上回っているからである。


穀物価格は2000年頃までは、下降していたのである。


市場のうえでは、価格が下降するということは需給バランスが流通過剰であるといえたのだが、元々ミャンマー、ベトナム、アフリカ地域、中南米地域の最貧国の絶対需要は存在しており、商業ベースの有効需要とは別に、米を含む穀物の量は不足していたのである。

06年から活発化しているとうもろこしを原料とするエコ燃料は、穀物の価格を押し上げており、加工用を含める食用穀物のみならず、飼料の価格も押し上げている。その他、原油価格の高騰など、穀物相場も他の相場同様に混迷を深めている。


かつて、戦時下や植民地化された社会において食料確保が重要視されていたように、各国の食料政策は各国の事情により譲ることができない部分が多い。需要数量と生産数量を比較することで語られる需給バランスは各国の食料政策(農業政策)の前では何ら意味を持たない。

つまり、地球上で人類の食料が足りるか足りないかという議論はあるが、足りない場所では非常に足りないが、足りえる場所では必要以上に使用することができる現実がある。この状況を是正することは自国の食料を確保することの先の話であるということである